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IBMとFX大手のCLSが銀行向けブロックチェーンアプリストアを立ち上げ

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承認を得た私的なブロックチェーンでさえ、承認不要の公的なものと同様に、アクティブなネットワーク効果とエコシステムと形成する必要があります。

『LedgerConnect』開発の背景には、金融ブロックチェーンアプリストアによって、フィンテック・ソフトウェアプロバイダから供給される分散型台帳技術(DLT)のソリューションへ銀行からの容易なアクセスを可能にし、またそのようなベンダーからも同様に銀行の顧客にアクセスできるようにするという目的があります。

月曜日に報じられたように、LedgerConnectは銀行が所有する為替取引ユーティリティであるCLSとソフトウェア企業大手であるIBMの産物であり、創設者には大手銀行のバークレイズやシティグループが名を連ねています。

実際、9つの金融機関がPoCに参加しており、Baton Systems、Calypso、Copp Clark、IBM、MPhasis、OpenRisk、SynSwap、Persistent Systemsを含む多くのベンダーのサービスを選定しています。

LedgerConnectを利用する金融機関は、顧客確認プロセス、制裁措置の審査、担保物件の管理、デリバティブのポストトレード作業、照合や市場データといった分野でDLT基盤のサービスにアクセスできるようになります。

この新型ハブは、銀行が購入するような様々なアプリケーションのため独自の分散ネットワークを構築するにあたり、スタートアップ企業や大手IT企業が一様にコストと複雑さに直面しているギャップを解消するだろうと、IBMの金融市場担当副社長であるキース・ベアは述べています。

ベアは「安全なネットワークと実績のあるインフラプロバイダを持つことで、銀行は保証されたフィンテック・ソフトウェアプロバイダのアプリケーションを識別でき、そのようなアプリをシームレスなブロックチェーンネットワーク上に展開できる、手本の様なアプリストアが可能になる」とコインデスクに語りました。

DLT分野においてもっとも活動的な銀行のひとつであるバークレイズにとっては、そのアプリストアは新しい取り組みをテストする場でもあります。

バークレイズの投資銀行部門CTOであるリー・ブレイン博士は、ライブ環境向けの分散型台帳を設計するにあたりいくつかの異なった展開の選択肢があると説明しました。

例えば、もしCLSのような金融市場のインフラプロバイダがある特定の事例を管理しサービスを提供していたら、そのプロバイダには市場における初期速度を加速するために銀行に代わってノードのホストとなる選択肢が発生するだろうとベアは述べます。

「いくつかの銀行は、自分たちのノードホスティングを更に分散化する展開を開発することに関心を寄せている。LedgerConnectのプルーフ・オブ・コンセプトに参加することでバークレイズは市場インフラをホストとするノードと銀行をホストとするノード両方へのアクセスを目的とする分散型台帳のプライベートネットワークの経験を得ようとしている」とブレインは述べました。

LedgerConnectそのものは、Hyperledger Fablic上に構成されたIBMのブロックチェーンプラットフォームに基づく許可されたブロックチェーン上で部分的に稼働しており、現在ストアにあるすべてのアプリはHyperledgerを基盤としています。そして、創設者たちはアプリストアを活用するため、他のブロックチェーンソリューション企業を歓迎しています。

「我々は、R3のCordaやQuorum(これらの技術は安定して供給されており、セキュリティの観点等からも我々の期待に応えるものです)といった他の台帳の実装に反対してはいません。」とCLSのイノベーション・ソリューション部門のトップであるラム・コマラユは述べました。

彼は「原則として一つの技術だけに制限するつもりはない」と付け加えました。

最初のコンソーシアム

客観的にCLSはおそらく最初のブロックチェーンコンソーシアムだと考えられています。

確かに、CLSは2002年(初のブロックチェーン構想が生まれた年の6年前)に、FX取引の配管を提供するために創立されました。そしてCLSは、Hyperledgerがスタートしておらず、R3もまだ認知されていない2015年初頭からブロックチェーン技術のテストを行ってきました。

初期のCLSのブロックチェーンにまつわる努力は後々、未熟なブロックチェーン技術を核となる決済エンジンから切り離しながら、ブロックチェーンをメインプラットフォーム以外で行われる様々な新しい暗号通貨を含む取引にマッチさせそれをカバーできるかテストする手段であるCLSNetとなりました。CLSNetは60もの大手金融機関で使われています。

「我々は銀行と購入側の企業のために多くの取引処理を行っていますが、決済そのもののミッションクリティカルな局面に至ることはありません」とコマラユは述べています。

CLSNetそれ自体は新しいLedgerConnectポータルの最初のアプリのひとつとなるでしょう。それらのアプリは典型的な骨の折れる照合とデータの重複を取り除く(例えば、デリバティブ契約のデジタル化された基本契約書をひとつの台帳に保存することなどを含む改善策)ことを期待して選定されました。

「こんにちの経済市場を見てください。すべての銀行が、それぞれの自己中心的なオフィスシステムを持っています。いつも同じような業務方法の他方との取引を行っているのに、技術は別々のところに蓄積されているのです。」とコマラユは付け加えます。

IBMとCLSは昔からの付き合いがあります。CLSのメインプラットフォームはIBMによって構築されました。そしてLedgerConnectは2社それぞれの金融インフラとブロックチェーン技術の点をつなぐものとなり、同時にCLSがこれまで行ってきた外国為替に関するブロックチェーン技術を他の資本市場の領域にまで広げるものになります。

「この連携はCLSの世界的・体系的に重要な市場のユーティリティというポジションに大きな影響を与えることになりますし、IBMもその部分に投資しています。」とコマラユは述べています。

PoCによる疲労

通常のPoCと違い、LedgerConnectはかなり先進的な状態にあるとコマラユは言います。

「我々はそれを月曜から始めません。我々はたくさんの事例から選定された制度を有しています。その制度は既に実行済みであり。技術の提供までの過程もかなり後期に入っています。」と彼は言っています。

今回名前が挙げられた銀行はバークレイとシティのみですが、JPモルガンやゴールドマンといった大手もCLSNetに携わっているため、LedgerConnectに参加することが十分に考えられます。

他にも、IBMのSaaSとしてHyperledgerを利用しているwe.tradeプラットフォーム上にある銀行の参加も予想されます。

なぜCLSがLedgerConnectのすべての参加者を公表できないかを説明するにあたり、コマラユはいくつかの大手銀行がPoCによるちょっとした疲労を経験していることをほのめかしました。

「銀行名のリスト全体を公開することは出来ません。なぜなら、いくつかの銀行からはまだ同意を貰えていないからです。プルーフ・オブ・コンセプトが完了するまで待つことを希望している銀行もありますし、銀行内での同意を得るためにより時間を必要としているところもあります。」

一方で、IBMのベアは、PoCによる疲労が見られる理由は、それが進まないからに他ならないと述べています。弱い投資対効果検討書のせいであったり、ブロックチェーンの必要がないせいであったり、ネットワークの構成と運用にかかるコストや複雑さのせいであったりします。

「我々はPoCによる疲労を克服するために様々な方法を試しています。PoCは避けて通ることのできないものですから。」とベアは述べています。

この記事の翻訳元
IBM and FX Giant CLS Team Up to Launch Blockchain App Store for Banks – CoinDesk

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