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法定通貨に裏付けられたステーブルコインは証券取引委員会と米商品先物取引委員会の法的検査を通過することができるか?

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著者であるKobre & Kim LLPのBenjamin SauterとJake Chervinskyは訴訟当事者であり、デジタル資産にまつわる議論と捜査に特化した政府の施行を弁護する法律家です。この記事は法的なアドバイスを提供することを意図していません。

 

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「暗号通貨の冬」と呼ばれる時代の2年目に突入するにあたり、ステーブルコイン市場はますます過熱しています。

 

ここ数カ月で、ステーブルコイン――米ドルのような法定通貨の価値に裏付けられたデジタル資産――の規模と種類は、Circle、Paxos、Geminiのような企業からの目立った発売によって、爆発的に増えました。従来型の銀行ですらこの動きに参加しつつあり、最近ではJPモルガンがJPMコインと呼ばれる自社のステーブルコイン様の製品を発表しました。

 

これまでのところ、ステーブルコインは証券取引委員会(SEC)や米商品先物取引委員会(CFTC)といった機関による公開審査や批評を大部分において避けてきました。それらの機関は代わりに2017年のICOバブルから生じたたくさんの問題に注意を向けていました。しかし、ステーブルコインに多くの資本が流入し業界に採用されるにつれて、SECとCFTCはその適合性の状況に対してより厳しい見方を取っていくことになりそうです。

 

ステーブルコイン支持者にとっては残念なことに、SECとCFTCのような機関は新しい経済革新に対してすぐに自分たちの権限を行使することが多く、新興の業界にとって最適な利益にかなうものではなかったとしても、介入を行うことがしばしばあります。

 

ステーブルコイン101

ステーブルコインは他の暗号通貨と同じ多くのメリットを約束します――安価な取引手数料や迅速な支払いなど――そして暗号通貨市場に通常見られる価格の不安定さはありません。その組み合わせを通じて、ステーブルコインはグローバルな金融システムへのアクセスが制限されている地域、例えばイランやベネズエラにおいて、高品質な法定通貨の需要を満たすことができます。

 

ステーブルコインは、従来の金融機関とのやり取りを減らしつつも法定通貨を基盤とする取引ペアの提供を望む暗号通貨取引所にとっても役立つ可能性があります。

 

法定通貨との一対一の結びつきを維持するために、大半のステーブルコインは、法定通貨担保、暗号通貨担保、あるいはアルゴリズムモデルのいずれかを利用します。法定通貨担保のステーブルコインは実際に発行者が貯蓄している法定通貨によって裏付けられており、一方で暗号通貨担保のステーブルコインはスマートコントラクト内に固定されたデジタル資産によって裏付けられています。

 

アルゴリズムステーブルコインは、比較して、全く担保されていません。その代わり、様々なメカニズムを用いて、安定した価格を維持するのに必要な流通量に拡大・縮小します。

 

昨年SECの注目を集めたのは、どうもこのタイプのステーブルコインのようです。

 

懸念の根拠

2018年4月、Basisとよばれるアルゴリズムステーブルコインが複数の有名ファンドやベンチャー企業から1億1300万ドルを調達したとしてトップニュースになりました。しかし、たった八か月後に、Basisは予想外の閉鎖をし、残っていた資本を投資家たちに返却しました。閉鎖の理由として、BasisのCEOであるAl-Najiは「我々は自分たちの考えの多くを明確にするためSECに会い、証券分類を避けることはできないだろうという印象を受けました。」と述べました。

 

SECが証券提供というレンズを通してBasisを見た理由を想像するのは難しい事ではありません。

 

Basisのプロトコルは、「保証」ならびに「分担」トークンを、Basisの裏付けが続く限り利益を受けるであろう投資家に向けて競売にかけることで、安定性を維持するように設計されていました。このようなトークンはアメリカの法律の下では「投資契約」として資格を与えられており、それゆえ証券の意味するところに含まれることになるのでしょう。見たところ、Basisチームはその分類によって課せられる規制当局からの要求は乗り越えられない厄介事だと判断したようです。

 

Basisの驚くべき終焉にも関わらず、暗号通貨業界では、アメリカの証券および商品の法律がどのようにステーブルコインに適用されるのかについて、あまり多くの議論は交わされていません。

 

実際、業界関係者の大半が、法定通貨担保のステーブルコインは規制の監視から守られていると当然のように考えているようです。この思い込みは危険をもたらす可能性があります。

 

連邦法下でのステーブルコイン規制

ドルに裏付けられたステーブルコインの大半は、同様の方法で作られています。購入者はドルを発行者に預け、発行者は取引所で同量のステーブルコインを発行して渡します。このプロセスは逆にも働きます。ステーブルコイン所有者がステーブルコインをその発行者に返却し、同量のドルを受け取ることができます。

 

このようなステーブルコインの換金方法を考慮して、SECはそれらを「要求払い約束手形」、つまり従来、要求にしたがっていつでも債権者が手形の持ち主に支払いを行う義務を負わせる、二者間の交渉可能な手形であるとみなすでしょう。

 

1990年のSupreme CourtにおけるReves v. ErnstとYoungの判決に従って、要求払い約束手形は、例外または除外の対象とならない限りExchange Act Section 3(a)(10)の下で証券として見なされます。

 

この点で、CFTCはステーブルコインがCommodity Exchange Act Section 1(a)(47)(A)の下において「スワップ」であるとする姿勢を取るでしょう。この条項はスワップに「購入や売却に関するあらゆるオプション、あるいは価値に基づいた1かそれ以上の利子、あるいは他のレート、通貨、商品、あるいは他の金融・経済的なあらゆる種類の利益や財産」を含むと定義づけています。

 

この定義の下で、CFTCはステーブルコインを、法定通貨の購入のオプション、あるいはその価値に基づいたものと見なすでしょう。

 

もちろん、ステーブルコインを扱う個人や企業は「要求払い約束手形」や「スワップ」といった分類がなぜ適用されるべきではないかについて十分な理由を持つことになるでしょう。例えば、発行者はRavesの裁判を、要求払い約束手形のための「家族の類似性」テストであると引き合いに出したり、あるいは小売り外貨オプションへのCFTCの権限に異議を申し立てたり、状況によって行動することができます。しかし、取締官は違う見方をするでしょう。

 

ステーブルコインにとってどのようなことを意味するか?

もしステーブルコインが規制下の証券やスワップとして分類されるならば、暗号通貨の大きな分野に深刻な結果をもたらすことになりかねません。例えば、ステーブルコインの発行者は自身の発行物を登録し、それを保証する規制要件に従わなければならなくなります。同様に、ステーブルコインの取引を実施または促進する会社やファンドは、ブローカーディーラーとしての登録が必要になるかもしれません。

 

加えて、SECとCFTCだけが、ステーブルコインに興味を持っている規制当局ではありません。

 

他の州や連邦政府機関、例えばニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)や金融犯罪捜査網(FinCEN)がどのようにステーブルコインの規制に働きかけるかは時間だけが教えてくれるでしょう。それらが貿易制裁や他の取引報告義務を回避するために使われている場合はなおさらです。

 

今のところ、ステーブルコインを発行または使用する人は誰でも、アメリカの証券および商品の法律の下で発生しうるリスクについて、じっくり考えるべきであることは明白です。

 

この記事の翻訳元

Will Fiat-Backed Stablecoins Pass Legal Muster With the SEC and CFTC? – CoinDesk

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